光のもとでⅠ

 桃華のこの物言いは緘口令そのものだ。
 口外できる類じゃない。
「どういう意味……?」
 かろうじて声に出せたのは俺だけ。
 そのあとすぐに、
「また男性恐怖症とかっ!?」
 寝転がっていた千里が瞬時に起き上がって席に着く。
「それともちょっと違うんだけど――藤宮司と秋斗先生の記憶だけが一切合財なくなっちゃったの。蒼樹さんの話だと、その間の出来事はすべてふたりから話を聞いたそうだけれど、それでも思い出せはしないみたい」
 桃華の深刻そうな顔を見れば、それが事実だとわかる。
「あ、それでこの間桃ちゃんアルバムを借りに来たんだ?」
 久先輩が訊けば、桃華はこくりと頷いた。