「そういうふうに翠が考えるのは仕方がないことなのかもしれない。翠がバカでこういうことに関しては学習能力が乏しいのも理解したけど、あまり俺たちを侮るな」
 ツカサの鋭い視線に身体中が切り刻まれるかと思った。
「翠の中学の人間と一緒にするな。考えただけでも虫唾が走る」
「っ……!?」
「言いたいことはそれだけだ」
 そう言うと、ツカサは無機質な靴音を立てて歩き始めた。
 私が隣に並んで歩ける速さではなかった。
 もし一緒に歩ける速度で歩いてくれたとしても、今はこの背中に走り寄ることはできない。
 とてもじゃないけど、横になんて並べない――。
 私が、無理……。
 思わずその場にしゃがみこむ。
 下を向いたら涙が零れた。
 ツカサの言葉に心臓がぎゅ、ってなった。