光のもとでⅠ

「翠葉……?」
 私の右側にあるソファに座っていた蒼兄に顔を覗き込まれる。
「食べられないか?」
「少し、疲れてるだけ……」
 本当にそれだけなのだ。
 熱がひどく高いわけでも血圧が低すぎるわけでもない。
「栞さん、少し休んだらあとで食べるので、退席してもいいですか?」
 ものは食べられない、挙句、身体はすごくだるい。
 勉強をしなくてはいけないにしても、こんなコンディションじゃどうしたって無理だ。
「いいけど……大丈夫? 顔色も良くないわ」
「ふふ、それはいつものことです」
 少し笑って席を立った。
「悪い……今日、強引に作業を進めすぎた」
「ううん、そのおかげで明日からは午前中で下校できるのでしょう? そっちのほうが楽だもの」
 ツカサは罰の悪そうな顔をした。