口を漱いでも、まだ胃液の苦いような味が残っていたから、少し嬉しかった。
 全部飲める気はしないけど、そこまでは求められいない。
「一緒に飲もうと思って自分の分も作っちゃった」
 栞さんはラグに腰を下ろし、カップを手に持つ。
「栞さん、婦人科ってどんなところですか?」
 痛むお腹を抱えて起き上がる。
「湊に何か言われた?」
 正確には、湊先生がツカサに言ったのを聞いたわけだけど、そこまでの説明が面倒でコクリと頷くことで省いてしまった。
「婦人科がどんなとこ、かぁ……。そうだな、感じ的には耳鼻科や歯医者さんみたいな診察室ね」
 耳鼻科や歯医者さん……つまりは診察台があるということだろうか。