「あ……」
 携帯の画像とそれを見比べる。
「きっとあそこから差し込んだ光をお撮りになられたのでしょう。そのお写真は来年度から、こちらのパレスのパンフレットに使用されるとうかがっております」
「そうなんですか……?」
「お客様からしてみたら単なるホテルのパンフレットにすぎないかもしれません。ですが、ここで働いている私たちは、自分の職場をこのように撮影していただけたことをとても嬉しく思っております。ウィステリアホテルグループにおいては、オーナーである静様が贔屓にしておられる久遠様とお嬢様が撮影された写真でパンフレットが作られるということはとても栄誉あることなのですよ」
 え――?
「今、久遠さんって……久遠さんって仰いましたかっ!?」
「はい、申しました」
 木田さんはにこりと笑う。