噴水広場に着くと、迷わずチャペルへと向かう。
 チャペルのドアを前に足が竦んだ。
 携帯からひとつの画像を呼び出す。
 自分が撮ったはずの画像データを小さくしてパソコンから携帯へ送っていたのだ。
 チャペルの扉は普通のドアとは違う。
 両開きなのはもちろんのこと、目の前に立ちふさがるような印象を受けなくもない。
 これが木製ではなく黒い鉄製だったら、さぞかし威圧感があるだろう。
 色や素材が与える効果は絶大――。
 ごくり、と唾を飲み込み扉に手をかけようとしたとき、
「お嬢様、おはようございます」
 視界の隅に木田さんをとらえた。
「おはようございます」
「今、チャペルのロックを解除したばかりですので中はまだ冷えますが、ご案内いたしましょう」