「蒼兄、私……」
「昨日、先輩がお風呂に入ってる間に寝ちゃったんだ。先輩がそのまま寝かせたいって言ってくれて、俺と唯もこっちに移動したんだ」
「ごっ――」
 謝ろうとしたら、「ふたりが起きる」と口を塞がれた。
 目で「ごめんなさい」と言うと、
「いいから、もう少し寝てな。基礎体温計は枕元に置いてあるよ」
 蒼兄はソファに戻って横になり、背もたれで姿が見えなくなった。



「唯、翠葉、そろそろ起きな」
 ん……。
「寒いからやだ~……」
 唯兄はさっきと同じようにむにゃむにゃ言いながら答え、さらには背中に背中がぴとりとくっつく。
 私の口には基礎体温計が放り込まれ、唯兄はベッドから引き剥がされた。