「正直、いいことはしてきてないかもしれない。それでも、俺にとっては翠葉ちゃんと過ごした時間はこれ以上ないくらいに大切なものだといえるから、思い出されることで俺が不利になることがあるとしても、やっぱり思い出してほしいんだ。さっき翠葉ちゃんが言ってくれたから、俺は俺らしく接する。だから、また全力で翠葉ちゃんを口説きにかかるよ」
 私は何か間違えてしまったのだろうか……。
 どうしよう……ものすごく困る気がするのはどうしてなんだろう――。
「真っ赤だね? そんなところも変わらない。どんな君でも、君にどんなふうに思われようとも、俺は君が好きだから。覚えていてね」
 真面目に、でもにこりと笑顔を添えて言われた。

 三杯もお茶を飲むとお手洗いに行きたくなる。
 立ち上がろうと腰を上げたら秋斗さんと目が合った。
 ……こういうときは「お手洗いです」って言ったほうがいいのかな。