本館に戻る道を歩いていると、森を抜けた辺りがオレンジ色の光に照らされていた。
柔らかな光はしだいにはっきりとした形になった。
キャンドルの炎――。
「うわぁ……きれい」
「こういうのはウィステリアホテルの十八番だよ」
唯兄の手が伸びてきて手をつないだ。
「ほらほら、中を歩こうよっ!」
手を顔の高さまで持ち上げられたとき、頭の中に会話がよぎった。
――「じゃぁ、また連れてこないとね」
――「本当にっ!?」
――「いつでも連れて来るよ」
――「秋斗さん、大好きっ! ……秋斗さん?」
――「……ごめん、ちょっと面食らった」
――「え?」
――「翠葉ちゃん、めったにそういうこと言わないし、こんなこともしないし」
――「……今日は特別なんです」
――「それでも嬉しいけどね」
柔らかな光はしだいにはっきりとした形になった。
キャンドルの炎――。
「うわぁ……きれい」
「こういうのはウィステリアホテルの十八番だよ」
唯兄の手が伸びてきて手をつないだ。
「ほらほら、中を歩こうよっ!」
手を顔の高さまで持ち上げられたとき、頭の中に会話がよぎった。
――「じゃぁ、また連れてこないとね」
――「本当にっ!?」
――「いつでも連れて来るよ」
――「秋斗さん、大好きっ! ……秋斗さん?」
――「……ごめん、ちょっと面食らった」
――「え?」
――「翠葉ちゃん、めったにそういうこと言わないし、こんなこともしないし」
――「……今日は特別なんです」
――「それでも嬉しいけどね」


