「いいんですか……?」
 訊くと、にこりと微笑んでくれた。
「嬉しい……ありがとうございます」
 ポケットにあるそれは、カクカクしているのに曲線も併せ持つ美しいボトルだった。
 透明の液体に透明のガラスボトル。
 飾り棚に置いたらオブジェに見えるだろうな。
 指先を曲線に沿わせると、少し冷たくて、この香りにピッタリな温度のような気がした。
 朝露を含む森林のような香り。
 陽の光をたくさん浴びたみたいな幸せな緑の香り。
 瑞々しくて水世界みたいな香り。
 深く深く吸い込みたくなるような、そんな香り。