身体を起こすと、テーブルの上には私と秋斗さんのカップに加えてふたつカップが増えていた。
「よく眠れたみたいだな。俺たちが来ても起きなかったよ」
 蒼兄の手が伸びてきて、頭を撫でられる。
「うん。……空がきれいで――緑から赤に変化する途中の紅葉(もみじ)がきれいで、それを見ていたはずなのに、知らないうちに寝ていたみたい」
 窓の外は薄暗い。
 部屋の三ヶ所にオイルランプが灯っていた。
「今何時?」
「四時過ぎ」
 答えてくれたのは唯兄。
「昇さんが五時半には治療を始めようって言ってたから、足元が見えるうちに本館へ戻ろう」
 蒼兄の言葉に、コクリと頷いた。