ライトブルー、ミントグリーン、チェリーレッド――三食のホーローのケトルはどれもかわいい。
 今日の気分は赤、かな。
 紅葉(こうよう)を見ているからかな、と思いながら、出入り口に一番近いストーブの上に乗っていたケトルを持って、さっきから気になって仕方のなかったドアを開く。と、そこは長方形の空間だった。
 入ってすぐのところに洗面台があり、その隣にトイレ。さらにその奥がバスルームになっている。
 独特な空間だ。
 私の胸もとくらいまでは腰壁になっているものの、その上はガラス張りで窓の外が見えるのだから。
 開放感がありすぎて少し落ち着かない。
 洗面台にはふたつのコックがついており、ひとつが浄水器を通していることがわかった。
 そちらから水を汲み、秋斗さんのもとへと戻る。
 秋斗さんは入り口近くのストーブに火を入れていた。
 お湯が沸くまでには時間がかかるし、紙袋には淹れたてのお茶が入っている。