一通り挨拶が済むと、昼食をどうするか尋ねられた。
「木田さん、自分と翠葉ちゃんは前回と同じように」
「かしこまりました」
「あ、俺の飲み物だけ変えてください。彼女と同じハーブティーに」
「それでは、のちほどお部屋の方へコーヒーをお持ちいたしましょうか」
「実は、コーヒーも酒もやめたんです」
 木田さんは少しびっくりした顔をしたけれど、すぐに表情を改め微笑んだ。
「さようですか。それではお部屋のお飲み物もハーブティーにお取替えいたしましょう」
 木田さんの視線が私の手に持つに移動する。と、
「翠葉お嬢様、ただいま森の中にはガラス張りの客室が建っておりますので、そちらのラグは不要かもしれません。暖房設備もございますので、どうぞごゆっくりお過ごしください」
 必要のなくなったトラベルラグは、ベルボーイの手に渡った。