高校に入ってから、「大切」だと言ってくれた人はたくさんいた。
 でも、「必要」と言ってくれたのはツカサが初めてな気がする。
「ツカサ……私にもツカサが必要だよ。ツカサがいないとすごく困る」
 ツカサを見てそう言うと、すごく驚いた顔をされた。
「……どうしてそんなに驚いた顔をするの?」
「いや――」
「今年の夏……私、ツカサがいなかったら乗り切れなかったと思うの。もしかしたら生きることを放棄していたかもしれない」
「翠」
 低い声音に怒ったことを察する。
「わかってるよ。でもね、本当にそのくらいつらかったの。……今、こうしていられることが奇跡に思えるくらい。先生たちも一生懸命治療してくれたけど、それ以外で――いつでもツカサが側にいてくれたから。だからがんばれたんだと思う。ちゃんとお礼言ってなかったよね。ありがとう……」