そう考えるのはとても怖いことだけれど、どこかで仕方のないことと思っている自分もいる。
 でも、離れていってしまう人の中にツカサがいるかと思うと、不安で死んでしまいそうなくらい怖い。
「手、つないでもいい?」
 私が訊くと、答えるよりも先に、ツカサに右手を取られた。
「悪い……」
 ツカサはいったい何に謝ったのだろう。
「昨日、怒鳴って悪かった……。それから、今、泣かせて悪い……」
「もうこんなこと訊かないで。こんな怖いことは考えたくないよ」
「……訊かずにはいられなかったんだ」
「……どうして?」
「俺も不安だったから、訊かずにはいられなかった。でも、もう訊かない。その代わり、俺が空回りしそうになったら翠と話したいんだけど。翠じゃないとだめなんだ」
 ツカサは私の手を放し立ち上がると、キッチンの引き出しから布巾を出した。
「涙拭いたらカップの用意して」
 そう言って、沸騰してからずいぶんと時間が経ってしまったポットのお湯を再度沸かし始めた。