光のもとでⅠ

「リィ、そんな顔しなくていいよ。俺には今の家族がいる。そうでしょ?」
 こくりと頷く。
「唯兄、あのねっ? 今回は私と家族ふたりだけかもしれないけれど、今お父さんたちがしている仕事の建物ができあがったらそこへ家族で招待されるんだって。そのときは五人揃うよっ」
 唯兄がくすくすと笑う。
「そりゃ楽しみだ。そのときは何がなんでも休みをぶんどらねば……」
「……蒼兄は行けるかな?」
 そう私が口にしたとき、玄関で音がした。
 リビングから玄関を見通すと、そこには蒼兄がいた。
「リィ、出迎えずに待ってな。休めって言われてるんでしょ?」
 廊下から、「ただいま」と優しい声が届く。
 けれども、リビングには直行せず、洗面所へ直行。
 手洗いうがいを済ませると、「着替えてくる」と部屋へ行ってしまった。