光のもとでⅠ

 ふと手元に視線を落とすとミネラルウォーターが空になっていた。
「私、お水買ってくるね」
 そう言って席を立つと、
「俺も行く」
「私も行くわ」
 海斗くんと桃華さん、佐野くんも席を立った。
 きっと心配してくれているんだろうな……。
 それは体調が、というわけではなく、また誰かに何か言われることを。
「……じゃ、お願いしてもいいかな」
 そうは口にしたけれど、少しだけ本意じゃなかった。
 好意は無下にしたくない。
 でも、さっきの先輩とはもう少し話したかったし、ほかにも直接私に何か言ってくれる人がいるのなら、面と向かって話したい、という気持ちのほうが強かったのだ。
 噂ではどうにもできなくても、話しに来てくれる人になら否定も説明もできる。
 それはリスクだけではなく、チャンスでもあると思うから。