「……やっぱり、イベントの最中は手薄になるわよね」
「俺も気をつけてたんだけどなぁ……」
 桃華さんに加えて佐野くんが口にする。そして、はっと気づけば周りにクラスメイトが集っていた。
「俺らももう少し余裕があればなぁ……」
 と、ところどころから声が聞こえてくる。
 あたりを見渡せば、みんなが「心配」という表情で私を見ていた。
 コートから戻ってきた河野くんも話の流れを読んだよう。
「みんなさ、御園生ちゃんがひとりにならないように努力してたんだよ」
 教えられて驚く。
 普段の教室移動の際はひとりになることはない。
 それはいつも桃華さんや飛鳥ちゃん、佐野くんや海斗くんが一緒にいてくれるから。
 それ以外で図書棟へ行くときも、桃華さんたちのほかに部活に行く通り道だから、と運動部のクラスメイトが一緒にいることが多かった。
 ……私、守られていたの?