ツカサは笑顔を引っ込め、
「何があったかは知ってる。でも、そういうの気にする必要ないから」
 不機嫌そうな顔で去っていった。
「さっきって、何があったの?」
 桃華さんに訊かれてまた悩む。
「んと、二年の先輩とお話してただけ」
 河野くんは呼び出しやリンチ、と言っていたけれど、やっぱり私はそんなふうには思えなかった。
「もしかして呼び出されたの?」
 桃華さんが声のトーンを落として訊いてくる。
「私にはそういう意識はないんだけどな……。少し先輩とお話をしていただけ。それに、河野くんが来てくれたから何もなかったよ」
 叩かれそうになった、とはちょっと言えなかった。