その手をじっと見ていると、
「ほらっ」
 急かされてその手を取った。
「うっし、幸先よしっ!」
「幸先?」
 河野くんはにこりと笑い、ゆっくりと引っ張り上げてくれた。
「御園生ちゃんがさ、クラスの男子の手を取るのって佐野か海斗だけだったでしょ? 俺、記念すべき三人目っ!」
 そう言われてみれば、そんな気がする。
「うちのクラスの男くらい平気になろうよ。助けてくれる手は多いほうがいいでしょ?」
 私は言われて少し考えた。
「河野くん……。それ、私もそっち側になれるかな? 私が手を差し出しても掴まってもらえるのかな?」
「――すっげー嬉しいっ! そうだよ、持ちつ持たれつ! お互いに手を伸ばそうよ」
「……うんっ!」