「海斗、おまえ――だいたいにして簾条っ、おまえがそっちにいてなんでこんなことになってるんだよっ」
 珍しくツカサが声を荒立てた。
「あら、やぁね……」
 桃華さんは艶然と笑う。
「私、藤宮司を陥れるためならなんだってするのよ?」
「司、諦めろよ。すでに文化部にも通達いってるし。いかんせん引き返せねぇぜ!」
 言い切ったのは優太先輩だった。
 その隣で嵐子先輩もニコニコ笑っている。
 なんていうか、笑顔でごり押しされても……。
 私、できそうにない。
 これ、どうしたらいいのかな……。
「はい、リクエストされた曲の割り当て。もう歌う曲も決まってるから」
 朝陽先輩にCDと歌詞の書かれたプリントを手渡された。
 思わず受け取ってしまったのは私。ツカサは手を伸ばしもしなかった。
 そこで気づく。
 受け取ってはいけないものだったと――。