「うん。どんなものができるのか楽しみにしてるね」
「私は紅葉祭前には撤収できる予定なの。零はまだ現場に残らなくちゃいけないと思うのだけど……」
 お母さんを迎えに来たお父さんは、
「碧ぃ、わかってて言ってるだろぉ……」
 と、恨めしい顔をでお母さんを見る。
「でも、やりがいはあるのでしょ?」
「まぁね、静のためだ」
 お母さんとお父さんの会話の意味はわからなかったけれど、とても楽しそうに見えた。
「翠葉ちゃんのことは任せてください」
 栞さんがにっこりと笑う。
「栞ちゃん、いつもありがとうね」
 私たちは兄妹揃ってふたりを送り出した。