光のもとでⅠ

「普通」という言葉には憧れる。
「普通」に学校へ通って、「普通」に生活ができて、「普通」に生きる――。
 焦がれて止まない言葉でもあるのに、その言葉を引き合いに出された時点で、私は蚊帳の外になってしまうことが多い。
 だから、憧れているのに苦手……。
 生と死、好きと嫌いは紙一重。きっとそんな感じ。
「でもね、先生……。中学のときと今私の周りにいる人たちは違うってわかってるんです」
「じゃあ、なんで言えない?」
「……習慣――癖、かな」
 きっとそう……。
「それは知覚神経の、痛みの記憶を無くすのと同じで、徐々に取り除いていくしかねぇな。時間はかかる。でも、なおせないものじゃない」
 そう言って、先生は鍼を取り始めた。