光のもとでⅠ

 そういう話は夏休み中に聞いた。
 もとより、そんな贅沢は望んでいない。
「ただ……人とすれ違ったりするのがすごく怖いです。ぶつかったときの衝撃や振動が――そいうのが怖くて、人ごみを目にすると足が竦んじゃう」
「……そういうときは空いているところを探すか、空くまで離れて待ってろ」
 確かにそうだ。
 流れに乗ろうとするからハードルが高くなる。
「友達に――なんで言ってくれないのって怒られちゃいました」
「いい友達じゃねぇか」
「うん……」
「でも、言えないのか?」
 こんな会話をしながらでも、鍼を打つ手はしっかりと動いている。
 相馬先生は治療を進めながら、時折「吸って吐いて」と指示を出しながら話を聞いてくれるのだ。