司先輩がグラスを手に戻ってくると、薬の所在を訊かれた。
「あ――湊先生のおうち。今日、そこで着替えて制服もかばんも全部そのまま」
言うと、ふたり目が合い司先輩が「くっ」と笑った。
「俺も気づかないなんてどうかしてる。今取ってくる」
と、言い残して栞さんの家を出ていった。
こんなに自然に笑った先輩は初めてじゃないだろうか。
そうは思うものの、少し前の先輩の表情が頭に居座ったまま。
「でも、笑ってたから……」
だから、大丈夫かな、と思った。
五分もせずに戻ってくると、制服はクローゼットにかけてくれ、かばんをベッドまで持ってきてくれる。
ピルケースを取り出し薬を飲むと、
「じゃ、電気消していくから。すぐ寝るように」
「はい、ありがとうございます」
電気が消える瞬間――ほんの一瞬に見えた先輩の表情がものすごく柔らかくて、優しい顔でドキリとした。
ドアが閉まってから枕元に置いた携帯を見ると、きちんと脈拍が上昇していて、本当に連動してるんだ、なんて納得する。
少し落ち着くと、今度は秋斗さんのことが頭を占める。
秋斗さんはお仕事なのかな……。
シュークリームのお礼をまだ伝えていない。
メールでも電話でも言えることだけど、できれば会って伝えたい。
でも、会ったら――。
またドキドキして、好きな気持ちが心にあふれてしまうだろうか。
それはそれでちょっとつらい。
私はこの気持ちにどうやって折り合いをつけたらいいんだろう――。
「あ――湊先生のおうち。今日、そこで着替えて制服もかばんも全部そのまま」
言うと、ふたり目が合い司先輩が「くっ」と笑った。
「俺も気づかないなんてどうかしてる。今取ってくる」
と、言い残して栞さんの家を出ていった。
こんなに自然に笑った先輩は初めてじゃないだろうか。
そうは思うものの、少し前の先輩の表情が頭に居座ったまま。
「でも、笑ってたから……」
だから、大丈夫かな、と思った。
五分もせずに戻ってくると、制服はクローゼットにかけてくれ、かばんをベッドまで持ってきてくれる。
ピルケースを取り出し薬を飲むと、
「じゃ、電気消していくから。すぐ寝るように」
「はい、ありがとうございます」
電気が消える瞬間――ほんの一瞬に見えた先輩の表情がものすごく柔らかくて、優しい顔でドキリとした。
ドアが閉まってから枕元に置いた携帯を見ると、きちんと脈拍が上昇していて、本当に連動してるんだ、なんて納得する。
少し落ち着くと、今度は秋斗さんのことが頭を占める。
秋斗さんはお仕事なのかな……。
シュークリームのお礼をまだ伝えていない。
メールでも電話でも言えることだけど、できれば会って伝えたい。
でも、会ったら――。
またドキドキして、好きな気持ちが心にあふれてしまうだろうか。
それはそれでちょっとつらい。
私はこの気持ちにどうやって折り合いをつけたらいいんだろう――。