そしたら、空太くんや和光くんが、
「ようやく『ありがとう』って言ってくれるようになったよね」
「ごめんなさい、はもう聞きたくないよねー?」
 どうしよう、泣きそう――。
「先生、宿題の回収をしてもよろしいですか?」
 桃華さんの提案に、教室の空気が変わる。
「おうおう、きっちり回収してくれや」
 川岸先生も窓際の椅子に座った。
 桃華さんに「座ったら?」と声をかけられ席に着き、かばんから宿題を取り出す。
 下を向いたときに涙が零れた。
 かばんから一緒にハンカチも取り出し目に当てる。
 髪の毛……顔を隠せる長さがあって良かった。
 涙を拭き取り前を向くと、海斗くんがじっと私を見ていた。
「ちゃんと言えたじゃんか」
 頭をわしわしとされ、「目、赤いかな?」と訊くと、「少しな」と笑われた。