栞さんが遅れてキッチンから出てくると、
「がんばって食べて少し太らないとね」
 と、頬をつままれる。
 確かに、がんばって食べなくてはいけない。
 学校へ通うのにも授業を受けるのにも、エネルギーは必須。
 食べられないとかではなく、がんばって食べなくちゃ――。
 そう思ってスプーンを手に取ると、
「そこで気負っても仕方ないから」
 ボソリ、と隣に座るツカサが口にした。
 まじまじとツカサを見ると、「何?」って顔をしてスプーンを口に運んだ。
 なんだかなぁ……もう。
 でも、こういうやり取りにも慣れた。
 私に本音を話せと言うだけではなく、ツカサも思っていることを話してくれるようになったから。