退院前には秋斗さんもお見舞いに来てくれた。
 秋斗さんは湊先生に私の容態を聞いていたようで、副作用が治まってから来てくれた。
「こんにちは」
 と、秋斗さんは蒼兄と一緒に現れた。
 表情は柔らかかったけど声が硬いことから、その笑顔は作られたものなのだろう、とすぐに察することができた。
「翠葉、翠葉が大丈夫なら俺は大学に行くよ」
 来て早々に蒼兄に言われ、私は少しだけ考えた。
 蒼兄はきっと大丈夫だと思ってる。でも、ここへ一緒に来たというのは――秋斗さんの希望、かな……。
「……秋斗さん、大丈夫です。蒼兄がいなくても平気」
「……そう?」
 不安そうな表情で訊かれたから笑顔を返した。