「翠葉ちゃん、あまり考えすぎないように。言ったろう? 迷惑ではなく好意だと」
 静さんは労わるような優しい声でそう言ってくれた。
「はい……」
 少し唇に力を入れて、口もとを引き締める。
 また、ここでさっきと同じことを考えても仕方がない。
 自分が何を返せるのかを考えたほうがよっぽど建設的だ。
 そう思い直すと、顔を上げて蒼兄の顔を見る。
「あのね、蒼兄よりも若い人。二十一歳って言ってたかな……。秋斗さんが拾ってきて静さんのもとで仕事している人なんだって。印象的にはすごくきれいなお兄さん……? うーん、中性的な感じ」
 とくに言葉を交わしたというわけではないし、写真を運んできてくれただけなのでそれ以上を思い出すことができなかった。
 顔に至っては中性的、という印象しか思い出せない。
「あぁ、先日誕生日だったらしく、今は二十二歳になってるよ。蒼樹くんが今いくつだっけ?」
「俺は二十四になりました」
「じゃぁ若槻のほうが年下だな。だが仕事はできる人間だ」
「秋斗先輩に拾われてきたっていうところが若干気になりますが……」
 蒼兄も?
 思いながら視線を向けると、苦笑が返された。