光のもとでⅠ

 十日になって携帯を開いた。
「もう意識は戻っている。……司は今日も行ってるんだろうな」
 彼女が心配なのに、どうしてか司のことも気になって仕方がない。
 嫉妬であることはわかっている、
 それでも、その気持ちを止める術を知らなかった。
 でも、彼女の気持ちの負担になるのはもうこりごりだ。
 だから、勇気を出してメールを送った。


件名 :大丈夫かな
本文 :話を聞いて負担になっていないと
   いいんだけど……。
   思い出してほしくないと言ったら
   嘘になる。
   でも、今までの記憶があってもなくても
   今からの関係にはなんの障害もない。
   君はそのままでいいから。
   あまり考え込まないでほしい。
   考えるあまりに会えなくなるのなら
   何も考えてほしくはない。

   翠葉ちゃんに会いたい。
   寝てる君でもいい。
   ただ、君に会いたい。