光のもとでⅠ

「蔵元……俺が海底まで沈んだら引き上げてくれない?」
「丁重にご遠慮申し上げます。……やですよ、こんな重いの」
「……くっ、ははは! 確かにな、俺重いわ」
 蔵元は俺を上司扱いすることから言葉が丁寧なのには変わらないが、最近はそれに加えて毒も吐くようになった。
 人との距離が縮まるのってこういうことをいうのかもしれない。
「――はい、蔵元です。……あぁ、帰宅してる。――そうか、わかった。伝えておく」
 ……若槻か?
「唯からです。翠葉お嬢様、まだ意識は戻りませんが、バイタルは安定し始めたようです」
 良かった……。
 すぐにノートパソコンを立ち上げ、彼女のバイタルをチェックする。