意識を失った彼女は相馬先生に抱えられ、十階に備えられている処置室へ運ばれた。
 俺はその場にいたかったけど、
「私たちにできることはない。あとは彼らに任せよう」
 と静さんに促され、エレベーターに押し込められた。
 俺は十階から一階まで直通のエレベーターに乗せられ、蒼樹や湊ちゃんたちと会うこともなく帰された。
 もっとも――蒼樹に会わせる顔など持っているはずもなかった。
 司には知らせる気になれず、俺からは知らせていない。
 静さんから連絡が入ったのかも知らない。