彼女にメールを送ったのは十日の夜だった。
 もっと早くにメールを送りたいと思っていた。
 でも、送れなかった――。
 自分の気持ちを落ち着けるのに時間が必要だった。
 八日、彼女が目の前で倒れるのを見て、心臓が止まるかと思った。
 咄嗟に手を伸ばしたけれど、点滴の管は抜けてしまった。
 彼女は――廊下に出ることも出来ず、目の前が見えているのかも怪しい状態で、必死に司に言葉を伝えようとしていた。
 涙を流して叫ぶように。
 あんな大声を出す彼女を初めて見た。
 こんな状況ですら、俺は司に嫉妬した。
 情けないけど、それが事実。