病院までやってきたものの、どうやって話を切り出せばいいのか、と悩んでいた。
 どんな顔をしてこの病室に入ればいいのか、と――。
 ナースセンターで相馬さんに捕まる。
「ようやくお出ましか? 遅ぇな」
 何を言われても反論するつもりはない。
「翠の状態は?」
「薬の副作用がひどい」
「症状は?」
「主に吐き気だな。身体を起こすのは無理っぽいぜ」
 それだけ聞いて病室へ足を向けた。
 きっと今も横になっているだろう。あわよくば寝ていてくれたらいいのに。
 そんなことを思いながら病室へ踏み入った。
 入ってすぐ、横になったままこちらを見ていた翠と視線が交わる。