「お、来たか。引っ張りだこの執刀医様に手伝いなんざさせて悪いな」
「ふざけたこと言ってんな。楓は夜勤だろ? そろそろ行け」
「はい」
 ベッドサイドを昇さんに譲る。
「翠葉ちゃん、また来るからね。司は明後日に来るから」
 それだけを言い残し、後ろ髪を引かれる思いで病室をあとにした。
「先輩っ、翠葉ちゃんはっ!?」
「つらそうだけど、中には相馬先生と昇さんがいるから大丈夫」
 何を根拠に大丈夫と言っているのか――。
 自分に疑問を持ちながらの返答だった。
「あ、それ……」
 葵くんの手ににはかわいくラッピングされた観葉植物があった。