光のもとでⅠ

 あんなふうに痛がる彼女を見たことがない。
 去年とは違いすぎる。
 今年はあんな症状を抱えていたというのかっ!?
 言われたものを手に取り、すぐに病室へ戻る。
「足っ……膝っ――」
「おうおう、元気に移動しやがんなぁっ」
 相馬先生は舌打ちをしながら鍼を刺していく。
 そして、翠葉ちゃんはひたすらに痛む場所を追っていた。
 ――「いたちごっこ」。
 そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
「おまえ時間あるんならスイハの手ぇ握っててやれ」
 自分に向けられた言葉に、すぐに場所を移動した。