光のもとでⅠ

「葵くん?」
「あ、楓先輩……」
 葵くんに意識を向けたものの、それはすぐに逸らされる。
 病室から荒い息遣いと泣き声が聞こえてきたのだ。
「何……?」
「蒼樹に頼まれて緑を持ってきたんですけど、発作起こしてるみたいで……」
「……俺、ちょっと見てくるね」
「はい」
 きっと病室に入ったところで俺の出る幕はない。
 でも、どんな状態なのか、見に行かずにはいられなかった。
 病室に足を踏み入れ愕然とした。
「も、やだ……」
 翠葉ちゃんは目を見開いたままボロボロと涙を零して天井を見ていた。