光のもとでⅠ

「そもそも水没ってどこで?」
「(風呂)」
「……普通バスルームに携帯なんて持って入らないだろ?」
 この先は答えたくない……。
 無言を貫くと、姉さんが口を開いた。
「司が携帯を持ったままバスルームに入る状況なんてひとつしか考えられないじゃない。湯船にお湯を張ろうとしてコックを捻ったらシャワーが出た、そんなところでしょ?」
 にやりと笑みを深めた顔を向けられ目を逸らす。
 目を逸らしていることで肯定したも同然だった。
「なるほどねぇ……。いやぁ、それにしてもずっと見ていても飽きない光景だな」
 兄さんも姉さんもそろそろ出ていってくれないだろうか……。
 でも、その前に姉さんに礼は言っておくべき。