夜には兄さんまでやってきた。
「いやー……姉さんからのメール見たとき冗談かと思ったよ。なんだ、マジで熱出してたんだな?」
「熱なんて四十度もあったのよ。私たちが医者になってから司を診るのなんて初めてじゃない?」
「初めてでしょー……っていうか、何? 明日雹とか降らせないでほしいんだけど?」
 それ、あんまりだろ……。今、夏だし……。
 でも、そんなふうに言われるくらいには、こんな派手な風邪はひいていなかった。
 記憶に残っているひどい体調といえば、初等部に上がった頃になったおたふく風邪くらいなものだ。
 初等部低学年の頃は何度か流行り風邪をひくこともあったけど、風邪をひくたびに父さんに言われたものだ。
「自己管理を怠るな」と。