――コンナコトノゾンデイナカッタノニ。ミナトセンセイヤアキトサンタチモノスゴクナカガヨクテ、ツカサトダッテナカガヨカッタノニ、ドウシテコンナ、モウヤダ――。
 頭が割れそうだ……。
 でも、俺の役割はまだ残っている。
「両耳を塞いで俺たちをシャットアウトした直後――」
 言葉に詰まると、先を藤原さんが続けてくれた。
「御園生さん、あなたは自分でIVHと点滴を引き抜いたのよ」
 見るも無残な地獄絵図――。
「そのまま不整脈を起こしてベッドの上で倒れた」
 恐る恐る翠を見れば、翠は自分の両腕をぎゅっと掴み小さく震えていた。
 そして、視線が合うと、
「ごめんなさ――」
 と口を開く。ほぼ反射的に。