緊迫した空気の中、静さんが動いた。
「翠葉ちゃん、少し深呼吸しようか」
 翠の傍らに立つと、
「私と一緒に十階へ行ってみないかい?」
 翠はその問いに、「行きます」と答えた。
 この状態で歩かせたりして大丈夫なのか――!?
 一見して普通に見えるが、翠の血圧は普段より四十近く数値が高い。
 立ち上がって急にいつもの数値まで血圧が下がったら……!?
 心配は尽きない。
 でも、幸か不幸か、ここは病院だ。
 都合が悪ければ相馬さんが止めるだろう。