この会話が奥さんを刺激した。
 気持ちはわからなくもない。
 だが、これを口にした司の気持ちはどうだ……?
 あいつは翠葉ちゃんのことも考えていれば、自分の気持ちとだって対峙しているし、そのうえで秋斗のことも考えている。
 ならば、これは俺たちが首を突っ込んでいい話じゃない。
 無理矢理その場からエレベーター前のロビーまで移動した。
「どうしてっ!?」
「どうして、じゃない」
「だってっっっ――また翠葉ちゃんが混乱したらっ!? ストレスを感じて痛みがひどくなったらっ!? 不整脈を起こしたらどうするのっ!?」
 栞の不安もわかる。が、
「そういうのもケアするのが俺らの仕事だろう?」
 俺がそう言うと同時、栞の背後に相馬が立った。