持ってきてくれたそれらに着替え、ふたりとの体格差に改めて驚く。
 何せ、半袖のはずのTシャツが、私が着ると五分袖くらいになる。
 湊先生が履けば十部丈か七部丈くらいのものが、私だとクシュクシュさせられる長さだ。
 ドアを開けると、司先輩が飲み物をトレイに乗せて持ってきてくれた。
 そして私の格好を見て笑う。しかも、肩を震わせて。
「翠は本当に小さいな」
「小さいといわれても、一応百五十八センチはあるのですが……」
 限りなく小さな抵抗を試みる。
「まぁいい。飲み物置いておくから小まめに飲んで」
 あ、そうか。先輩はこれから学校へ戻って部活に出るのだ。
「お手数かけてすみませんでした」
「このくらいはなんともない。とりあえず休んでて」
 言うと、ドアを閉め玄関のドアが閉まる音がした。
 作ってきてくれた飲み物を見ると、鮮明な赤が印象的だった。
 紅茶だったらどうしようかと不安に思ったけれど、香りが違うのだ。
「ハーブ……?」
 カップに口をつけると、酸味と程よい甘さの液体が口に広がった。
「ローズヒップにハチミツ……?」
 うちでも時々栞さんが出してくれるのだけど、基本的には緑色のお茶が多いのでとても新鮮だった。
「司先輩、実は料理とかもできちゃったりするのかな……」
 そんなことを考えつつ、遠慮なくベッドで休ませてもらうことにした。