「翠のなんでもないとか大丈夫って言葉ほど当てにならないものはないって言わなかったか?」
 かなり何度も言ってきたけれど、そのうちの大半は覚えていないんだよな……。
 ひとつため息をつき、
「とりあえず、昨日は悪い。これからそっちに帰るから」
『猫さん見つかったって静さんから連絡あったの』
「それ、犬の間違いだから……」
 沈黙に付加して想像するのは右に傾げている翠の顔。
「いや、深く考えなくていいけど」
 むしろ考えなくていい。
『ツカサ、疲れてると思うから、今日は来ないでね?』
 なんでこういうところばかり勘が働くんだか……。