光のもとでⅠ

 バーベキューを終えると、秋兄の気は一通り済んだようだった。
 普段モグラ生活の人間も、山で一日外にいると世間一般人並みに焼けるらしい。
 しかし、俺も秋兄も、一目で焼けたとわかる状態だ。
 帰りの車の中では消毒薬を塗らなくてはいけないだろう。
 片づけを済ませ別荘に戻ってくると二時を回ったところだった。
 軽くシャワーを浴びてから別荘の外に出た。
 秋兄の前で翠に電話するのは気が引けたから。
 山道を散策できるルートを歩きながら、コールする。
 病院へかけた電話はすぐにつながり、代表電話から九階に取り次いでもらう。
『もしもし、お電話換わりました神崎です』
「司です」
『あら、司くん。病院に電話なんて珍しいわね?』
「翠の具合はどうですか?」
『落ち着いているわ。ちょっと待ってね、呼んでくるから』