「はい、あとはこっちの作業が先。まずGPS起動。次に――」
「蔵元と若槻に電話」
「わかってるならとっとと行動しろっ」
 秋兄はベッドに座り、肩を竦めて携帯を操作する。
「あ、蔵元?」
 その一言を聞いてすかさず秋兄の頭をはたいた。
「いってぇ……いや、こっちの話。今、緑山荘にいる」
 今度は投げ出されていた足を蹴飛ばす。
「悪い、手と足が滑った。これ以上何かが滑る前に蔵元さんに謝罪入れてくれると助かるんだけど……」
 ポカン、としている秋兄から携帯を奪い取り、
「司です」
『あ、司様っ。秋斗様は――』