急な訪問ということもあり、用意された食事はいつもよりは質素なものの、それでもバランスのとれた朝食だった。
 スクランブルエッグにサラダ、ウィンナー。そして焼きたてのパンと淹れたてのコーヒー。
 デザートにはフルーツ入りのヨーグルト。
 目の前に座る秋兄も皿によそわれたものを次々空にしていく。
 どうやら食欲はあるらしい。
 なら、健康面の心配はしなくてもいいのかもしれない。
「司、朝食が終わったら久しぶりに釣りに行こう!」
「別にいいけど……」
「……昨日のパンチは効いた」
 苦笑しているものの、表情は穏やかそのもの。
「……司の言うとおり、俺はひとりで逃げたんだな」
「ホント、よくそういうことができるよね」
「痛いな……」
 と、また笑う。