「少しは自分を取り戻したか……」
その様子をじっと見ていると、視線に気づいたのかこちらを見上げた。
「おはよう。……司も一緒にどう?」
誘われるとは思わなかった。
「たまにはさ、道場じゃないところっていうのもいいよ」
秋兄の表情が柔らかかった。
翠の前にいるとかそういうことではなく、もっと幼かった頃に見ていたような表情。
「……すぐに下りる」
二階の玄関から出て秋兄のもとまで行く。
それからは何を話すでもなく、ただ黙々とふたりで射法八節を繰り返した。
弓がなくても、実際に射ることがなくても、神経を集中させることはできるし、何よりも心を空っぽにすることができた。
その様子をじっと見ていると、視線に気づいたのかこちらを見上げた。
「おはよう。……司も一緒にどう?」
誘われるとは思わなかった。
「たまにはさ、道場じゃないところっていうのもいいよ」
秋兄の表情が柔らかかった。
翠の前にいるとかそういうことではなく、もっと幼かった頃に見ていたような表情。
「……すぐに下りる」
二階の玄関から出て秋兄のもとまで行く。
それからは何を話すでもなく、ただ黙々とふたりで射法八節を繰り返した。
弓がなくても、実際に射ることがなくても、神経を集中させることはできるし、何よりも心を空っぽにすることができた。


