光のもとでⅠ

「何も変わってないな……」
 ただ、真新しいハンモックが木と木の間に吊るしてあった。
 その中に秋兄の姿はない。
 しかし、別荘にはひとつの明かりも灯ってはいない。
 暗がりの中歩を進め、預かってきた鍵で開錠する。
 このあたりは雪が降ると一階からの出入りができなくなるため、玄関は二階部分に作られていた。
 中はホコリっぽくはあるものの、積もるようなホコリがあるわけではない。
 家具には白いシーツがかけられたままで、窓も閉まったまま。
 俺は入り口脇にあるスイッチで電気を点けると一番近くにある窓を開けた。
 二階のリビングダイニングには秋兄の姿はない。
「一階か……?」
 階段を下りると、ひとつの部屋のドアがほんの少し開いていた。