緩やかに発進した車は二十分ほど走ると幸倉インターから高速に乗った。
「緑山の別荘にはしばらく行かれてないのでは?」
「行かなくなって七年です」
「そんなところへなぜ……」
「確証はありません」
「ま、行くあてができただけでも儲けもんです」
 秋兄のことを気にしつつ、もうひとつ――ゼロ課のことが気になっていた。
「司様、ゼロ課についてはいかほどの知識がおありでしょう?」
「さっき静さんに聞かされた程度で、ほとんど知りません。会長職を統べる人間の特別部隊だということくらい」
「ほほぉ、そうですか。それでは少々補足しましょうか」
 補足……?